ChatGPTとは、自然言語で応答を生成することができる会話型AIです。
人間と自然な会話を行うことができるだけでなく、様々な知識や情報を提供したり、創造的なコンテンツを作成したりすることも可能です。
しかし、ChatGPTが応答を生成するためには、プロンプト（Prompt）と呼ばれる命令文が必要です。
プロンプトは、ChatGPTに何を求めているか、どんな応答を期待しているかを伝える役割を果たします。
プロンプトの書き方によっては、ChatGPTの応答の質や精度が大きく変わります。
プロンプトエンジニアリングとは
そこで、プロンプトエンジニアリング（Prompt Engineering）という技術が注目されています。
プロンプトエンジニアリングとは、プロンプトを工夫することで、ChatGPTの能力を最大限に引き出す方法です。
プロンプトエンジニアリングを使えば、ChatGPTがより賢くなり、より自然で豊かな応答を返してくれます。
この記事では、ChatGPTのプロンプトエンジニアリングについて、基本原則と応用例を紹介します。
ChatGPTと対話する際に役立つノウハウやテクニックを学びましょう。
プロンプトエンジニアリングの基本原則
プロンプトエンジニアリングにおいては、以下の5つの原則※に従うことが推奨されています。
- 目的の定義：ChatGPTに何を求めているか、どんな応答を期待しているかを明確にする
- コンテキストの提供：ChatGPTに必要な背景知識や状況説明を与える
- 具体化：ChatGPTに具体的な例や質問を提示する
- 口語の使用：ChatGPTに自然な会話文や表現を使わせる
- 構成の工夫：ChatGPTに応答の形式や長さを指定する
※引用：これがChatGPTのプロンプトを完璧にする秘訣？ | AI専門ニュースメディア AINOW
それぞれの原則について、具体的な例文や効果を見てみましょう。
1. 目的の定義
目的の定義とは、ChatGPTに何を求めているか、どんな応答を期待しているかを明確にすることです。
ChatGPTは多様な応答が可能ですが、その分曖昧なプロンプトでは思った通りの応答が得られないことがあります。
そこで、目的や期待値を明示することで、ChatGPTに適切な応答を導くことができます。
例えば、ChatGPTに「チョコレートについて教えて」とプロンプトすると、以下のような応答が得られます。
ユーザーチョコレートについて教えて
ChatGPTチョコレートは、カカオ豆から作られるおいしいお菓子です。世界中で多くの人々に愛されており、さまざまな種類や味があります。
このように、ChatGPTはプロンプトに対して様々な応答を生成することができますが、その中には不適切なものや不十分なものも含まれます。
そこで、目的や期待値を明示することで、ChatGPTに適切な応答を導くことができます。
例えば、ChatGPTに「チョコレートの歴史とその健康上の利点について簡潔に説明してください。」とプロンプトすると、以下のような応答が得られます。
ユーザーチョコレートの歴史とその健康上の利点について簡潔に説明してください。
ChatGPTチョコレートの歴史は約4000年前にさかのぼり、古代メソアメリカのマヤ文明でカカオ豆が飲料として利用されていました。健康上の利点としては、ダークチョコレートに含まれるフラバノールは抗酸化作用があり、心血管系の健康に良い影響を与えることが示唆されています。
このように、目的や期待値を明示することで、ChatGPTはより具体的で正確な応答を生成することができます。
目的や期待値を明示するためには、以下のような方法があります。
- 質問文や命令文を使う
- 応答の形式や内容を指定する
- 応答の精度や信頼性を要求する
2. コンテキストの提供
コンテキストの提供とは、ChatGPTに必要な背景知識や状況説明を与えることです。
ChatGPTは多くの知識や情報を持っていますが、その全てを常に活用するわけではありません。
そこで、コンテキストを提供することでChatGPTに関連性や妥当性の高い応答を生成させることができます。
例えば、ChatGPTに「好きな映画は？」とプロンプトすると、以下のような応答が得られます。
ユーザー好きな映画は？
ChatGPT私は映画を観賞することができるわけではありませんが、人気のある映画としては、ショーシャンクの空があります。
このように、ChatGPTはプロンプトに対して様々な応答を生成することができますが、その中には個人的な好みや感想に基づくものも含まれます。
しかし、ChatGPTは人間ではなくAIであるため、そのような応答は不自然や不適切に感じられる可能性があります。
そこで、コンテキストを提供することで、ChatGPTに適切な応答を生成させることができます。
例えば、ChatGPTに「私はホラー映画が苦手です。おすすめの映画はありますか？」とプロンプトすると、以下のような応答が得られます。
ユーザー私はホラー映画が苦手です。おすすめの映画はありますか？
ChatGPTホラー映画が苦手なら、コメディ映画やアニメーション映画がおすすめです。例えば、トイ・ストーリーやシュレックなどは楽しくて感動的な映画です。
このように、コンテキストを提供することで、ChatGPTはより関連性や妥当性の高い応答を生成することができます。
コンテキストを提供するためには、以下のような方法があります。
- 自分の状況や目的を説明する
- 応答に関連する事実や情報を提示する
- 応答に影響する条件や制約を指定する
3. 具体化
具体化とは、ChatGPTに具体的な例や質問を提示することです。
ChatGPTは抽象的なプロンプトに対しても応答することができますが、その場合には応答の幅や深さが制限されることがあります。
そこで、具体化することで、ChatGPTにより多様で豊富な応答を生成させることができます。
例えば、ChatGPTに「日本の文化について教えてください。」とプロンプトすると、以下のような応答が得られます。
ユーザー日本の文化について教えてください。
ChatGPT日本の文化は非常に多様で豊かです。例えば、伝統的な祭りや芸能、食べ物や着物などがあります。
このように、ChatGPTはプロンプトに対して様々な応答を生成することができますが、その中には一般的で表面的なものも含まれます。
そこで、具体化することで、ChatGPTにより詳細で深い応答を生成させることができます。
例えば、ChatGPTに「日本の文化で好きなものは何ですか？私は漫画が好きです。」とプロンプトすると、以下のような応答が得られます。
ユーザー日本の文化で好きなものは何ですか？私は漫画が好きです。
ChatGPT日本の文化には多くの素晴らしい要素がありますが、私が特に好きなものの1つは日本の食文化です。日本には多くの健康的な食べ物があり、季節に合わせた食材を使用することが多く、美味しいだけでなく見た目にも美しく、バランスの取れた食事を楽しむことができます。
このように、具体化することで、ChatGPTはより個別的で深い応答を生成することができます。
具体化するためには、以下のような方法があります。
- 自分の意見や経験を述べる
- 応答に関連する例や質問を挙げる
- 応答に関連するカテゴリーや属性を指定する
4. 口語の使用
プロンプトを設計する際に、状況に応じた口語の表現を用いることが重要です。
例えば、友達と話すような感覚でChatGPTと会話を楽しみたい場合は、プロンプトに「お互いに楽しい話題について語り合ってください」と入力することで、親しみやすい口語のやりとりが始まります。
例えば、「最近の天気について教えてください。」とプロンプトすると、以下のような応答が得られます。
ユーザー最近の天気について教えてください。
ChatGPT最近の天気は不安定です。雨が降ったり止んだりし、気温も変化が激しいです。しかし、週末は晴れる予報です。
ChatGPTに特定の言い回しやフレーズを使わせたい場合は、プロンプトにそれらの言葉を含めることが効果的です。
例えば、「最近の天気について、くだけた言い回しで教えてください」と入力することで、より口語的な表現で天気について説明してもらえます。
ユーザー最近の天気について、くだけた言い回しで教えてください。
ChatGPTええと、ここ最近ってなんかすごくイマイチだよね。雨が降ったり止んだり、気温も安定しなくて。でも、週末には晴れるみたいだから、楽しみだね！
口語の使用によって、ChatGPTはより自然でリラックスした雰囲気を作り出すことができます。
しかし、注意が必要なのは、口語が適切でない場合や、正確な情報が求められる状況での使用を避けることです。
そのような場合は、フォーマルな言い回しや専門用語を使用して、正確で信頼性のある回答を提供するように指示することが重要です。
このように、口語の使用によって自然な会話文や表現を取り入れることができます。
適切なプロンプト設計と、状況に応じた表現の選択によって、よりリアルな会話体験を提供することが可能となります。
- 親しみやすい言い回しや表現を使う
- 状況や相手に合わせた口語表現を選択する
- 自然な会話の流れを作るために、質問や返答に口語を用いる
5. 構成の工夫
ChatGPTは、高度な自然言語処理技術を活用して、ユーザーからの質問やリクエストに対して適切な回答を提供します。
しかし、あいまいなプロンプトや不明確な指示では、望ましい回答が得られない場合があります。
例えば、「ビタミンについて教えて。」とプロンプトすると、以下のような応答が得られます。
ユーザービタミンについて教えて。
ChatGPTビタミンは、人間の体が正常に機能するために必要な栄養素の一種です。多くの種類があり、それぞれが異なる機能を持っています。ビタミンは、食事から摂取することが一般的です。
しかし、以下のような構成の工夫により、データ形式や制限事項などを指定して、より具体的で望ましい回答を得ることができます。
- データ形式の指定
回答の形式を明確にすることで、ChatGPTに望む形式での回答を促すことができます。例えば、リスト形式で情報を提供してほしい場合、「〜について、5つのポイントで教えてください」とリクエストすることで、整理された情報が得られます。 - 制限事項の設定
回答に特定の制限を設けることで、より適切な情報が提供されることがあります。例えば、「2000年以降のアカデミー賞受賞作品を教えてください」と指定することで、その期間に焦点を当てた回答が得られます。 - 詳細度の調整
回答の詳細度を調整することで、情報の量や質をコントロールできます。「簡潔に説明してください」と指示することで、短くて分かりやすい回答が得られる一方、「詳しく説明してください」と指示すると、より詳細な情報が提供されます。 - 目的の明示
回答の目的を明確にすることで、ChatGPTがより適切な回答を提供する可能性が高まります。例えば、「初心者向けに〜の使い方を教えてください」とリクエストすることで、初心者に適した情報が提供されるでしょう。 - 比較や評価の指定 回答に比較や評価が含まれるように指定することで、選択肢の中から最適なものを選ぶ際に役立つ情報が提供されます。例えば、「AとBの違いを比較して教えてください」とリクエストすることで、両者の相違点や長所・短所が明確にされるでしょう。
- ソースの要求
情報の信憑性を高めるために、回答に根拠となるソースを含めるよう指示することができます。例えば、「〜に関する統計データを元に説明してください」とリクエストすることで、データに基づく客観的な回答が得られます。 - 要約や再構成の指示
既存の情報を要約や再構成するよう指示することで、より分かりやすい形で情報が提供されます。例えば、「この記事を簡潔に要約してください」とリクエストすることで、短くて要点を押さえた回答が得られるでしょう。
ユーザービタミンCの効果と、ビタミンCを多く含む食品3つを教えてください。
ChatGPTビタミンCは抗酸化作用があり、免疫力の向上やコラーゲン生成をサポートする効果があります。また、鉄の吸収を助ける役割も担っています。ビタミンCを多く含む食品としては、オレンジ、ブロッコリー、パプリカが挙げられます。
このように、構成の工夫を通じて、データ形式や制限事項などを指定することで、より具体的で望ましい回答が得られます。
プロンプトの明確化や指示の活用により、ChatGPTはユーザーのニーズに合わせて、適切な回答を提供することが可能となります。
プロンプトの設計や指示子の選択に注意を払うことで、より効果的なコミュニケーションが実現されます。
- データ形式や詳細度を指定する
- 制限事項や目的を明示する
- 比較や評価、ソースの要求を行う
まとめ
以上が、ChatGPTに適切な応答を生成させるための5つの方法です。
これらの方法を組み合わせて使うことで、ChatGPTとより効果的で楽しいコミュニケーションを行うことができます。
ChatGPTはまだ完璧ではありませんが、あなたのプロンプトに応じて最善の応答を生成しようとします。
ぜひ、ChatGPTと話してみてください。
参考：AIと自然言語処理の基本
よくある質問
参考文献
(1) ChatGPTを活用するためのプロンプトとは？例文を交えて精度が上がる命令方法を紹介
(2) ChatGPTにハッキングの危機、AIにルールを回避させる“脱獄”をいかに防げるか
(3) これがChatGPTのプロンプトを完璧にする秘訣？
(4) ChatGPTが賢くなる！noteの深津さん考案「深津式汎用プロンプト」でChatGPTが劇的に使いやすくなった！
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